--- 庭コラム
災害に強い庭づくり
地震 台風 ゲリラ豪雨 酷暑
近年身近に感じるようになったこれらの災害に備えて、防災備蓄品などを準備されているお宅も多いのではないでしょうか。大きな災害に備えるには、家の中だけでなく外回りの状態も安全かどうか確認しておくこと、必要であれば問題のある場所は補強や修繕を済ませておくことが大切です。また新しくお庭や外構を計画をする際には、防災に役に立つ要素を可能な範囲で取り入れておくことができれば、いざという時の安心に繋がるかも知れません。
日頃お庭や外構をご提案する工事店の視点から、お家の外回りで出来る防災について考えてみました。
「雨庭」という言葉をご存知ですか?
「雨庭」とは、屋根や地上に降った雨水をそのまま下水道や河川に流さず、
一時的に土の中に貯め込み、ゆっくり浸透させる仕組みを持つ植栽空間(庭)のことを言います。
個人でもできる水害対策として「グリーンインフラ」とも呼ばれています。
近年の気候変動による異常気象で、ゲリラ豪雨が頻繁に起こるようになってきました。一気に降った雨が一斉に下水道に流れ込み、下水で処理しきれない水がマンホールのふたを浮かせるといったシーンもニュースなどでよく目にします。防災や減災、治水対策の一つとして雨庭の普及を推進する自治体も増えており、民間企業による研究も進められているそうです。
雨水を敷地内に浸透させるためには、水はけの悪い土壌の改良、駐車場や庭に透水性のある舗装を取り入れる、雨水浸透桝などを設置する、などが有効です。地面の貯水力を上げることに加えて、夏に日陰をつくる樹木を庭に植える(根が張ることで土を強くし雨水を吸い上げる)など、各家庭が出来る範囲で取り入れていけば、近隣の被害軽減につながるかも知れません。
庭や外構に出来る防災対策は?
いざという時に備えて、日頃から家の回りの安全点検を心がけましょう。
また被害を拡大させない環境づくりや、あると安心な貯水設備などについてご紹介します。
外構や庭に
不安な場所はありませんか?
大切なご家族やご近所の安全のため、またいざという時の避難経路を確保するために、家の周りにある危険なブロック塀やフェンス、枯れた樹木などは補強、撤去などしておきましょう。新しく外構や庭を計画する際には、十分な強度の施工や軽量なフェンスなどを採用しておくと安心です。
(1981年以前につくられたブロック塀は現在の基準に満たない可能性があります。強度に不安がある場合は専門家に一度ご相談されることをお勧めします。)
水が染み込む舗装や桝を
取り入れる
屋根に降った雨水を地中に染み込ませる「雨水浸透桝」。設置に補助金が出たり、新築時に設置を推進している自治体もあります。「透水性舗装」は雨水を舗装面にため込まず地中に浸透させることのできる舗装で、インターロッキングや樹脂系舗装材などがあります。これらの対策により、敷地内に降った雨を一旦地中にため込むこみ、下水や河川の負担を軽減させる効果が期待できます。
雨水タンクや
防災備蓄倉庫
雨水タンクは屋根に降った雨を雨どいを通してタンクに集めるもので、雨水を植物の水やりや打ち水に利用して節水効果が得られるガーデンアイテムです。溜まった雨水は断水時には生活水としても利用できます。その他、お庭スペースに防災備蓄倉庫を設置することでいざという時の備えも余裕をもってストックしておくことが可能です。一般的に家族分のストックとして、非常食や飲料水、生活必需品などは1週間分の備蓄が望ましいと言われています。
これらの他、突然のヒョウや大雪、台風に備えて、カーポートはポリカーボネイトではなく強度に優れた折板屋根タイプのものを採用する、駐車場が浸水する可能性がある場合は庭を一段高くして車の避難スペースとして移動できるようにしておく、など。庭や外構で出来る防災対策は他にも色々あると思います。ご自宅のハザードマップを確認して、予想される被害が最小限にとどめられるよう対策を考えて整備しておくことをお勧めします。
災害が起きたときの「在宅避難」を想定した環境づくり
避難所は自宅に住めなくなった人の一時的にな生活場所であり、自宅が居住可能な場合は自宅で生活を続ける「在宅避難」が、近年国や自治体で推奨されるようになってきました。自宅の倒壊や火災などの危険性がない場合は、住み慣れた自宅で避難生活を送れるよう、日頃からご自宅の環境や備蓄を整えておくと、いざという時にも慌てずに過ごすことができます。
避けることは難しい災害ですが、個人の努力で被害を少なくすることは可能です。枯れた太い枝は無いか?揺らしてグラグラする塀やフェンスは無いか?など、まずはチェックすことから始めてみてはいかがでしょうか。
家の外周りに関するお困り事やご心配な点、ご希望などがありましたら、どうぞお気軽にご相談下さい。
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